自然の中で電磁波デトックス?登山中に電磁波をモニタリングしてみた

電気

私たちが常日頃から様々な電磁波ストレスにさらされながら生活していることは、このブログをご覧になっている皆さんはすでにご存知のことだと思います。家でも職場でも道路でも、もはや都会ではWifiが飛んでいない場所を探すのが難しいくらいです。電磁波過敏症の方はもちろんですが、それほどではない方にとっても、慢性的な不調や疲れはもしかしたら日常的に浴びている電磁波が原因かもしれません。

たまにはパソコンやスマホから離れて、自然の中で「デジタルデトックス」や「電磁波デトックス」をしたいと思われる方も多いのではないでしょうか。私も家にいると、ついついパソコンの画面を見ている時間が長くなってしまうので、空いている時間はなるべく散歩やハイキングなどに出かけて、デジタル機器から離れるようにしています。

特に最近は登山に出かけることが多く、デジタルデトックスと筋力トレーニングを兼ねながら、秋の紅葉を楽しんでいます。

そこでふと気になったのは、このような自然の中でのアクティビティは、果たしてどれくらい電磁波デトックスになっているのだろうかということです。自分自身がデジタル機器を持っていなければ、たしかにデジタルデトックスにはなっているのでしょうが、携帯基地局からの電波は飛んで来ているかもしれませんし、お店やホテルなどが近くにあればWifiも飛んで来ている可能性があります。

そこで今回は、電磁波測定器EMF-390を使って、登山中に受ける高周波電磁波(RF)をモニタリングしてみました。測定器はモニタリング機能をONにしたまま自分のリュックに入れ、また自分の携帯電話(スマホ)の影響を受けないように、携帯電話は持たずに登ってきました。登った山は、鳥取県にある大山(一日目)と三鈷峰(二日目)です。

注意)携帯電話は緊急時の連絡手段として使えますので、通常の登山者はいざという時のために携帯した方がいいと思います。電磁波を気にするなら、電源をOFFにしたり、機内モードにしたりすれば良いだけなので。

一日目 大山(標高1709m)

10時半頃に駐車場を出発して登り始め、12時過ぎに山頂に到着しました。その後、30分ほど休憩して、12時40分ごろに下山を開始し、14時ごろに麓の駐車場に戻ってきました。その行程中の低周波電磁波(RF)のモニタリング結果です。

RFの値を見ると、最初の10分間くらい(10時30分頃)と、山頂にいた30分間くらい(12時から12時30分頃)、そして行程最後の10分間くらい(14時頃)に比較的高いことが分かります。これらの時間帯にどうして値が高くなったのかを考えてみます。

まず最初と最後の10分間についてですが、駐車場から登山口の入り口まで歩くと10分くらいかかるので、その辺りで電磁波の影響を受けたと考えられます。その辺りというのは、大山寺に向かう参道になっていて、周辺には旅館やお店が立ち並んでいるので、建物内から来るWifi電波や、近くにある携帯基地局などの影響を受けたと考えれば、説明が付きます。

そして最も気になったのは、山頂でも比較的強い電波を受けていたということです。山頂にはお店もホテルも携帯基地局もないにもかかわらずです。山頂でも携帯の電波は入るので、山の麓にある携帯基地局からの電波を拾っている可能性もありますが、そうであるならば登山中や下山中もほぼ同程度の電波を拾う(あるいは標高が高くなるにつれて基地局から離れるので電波強度は弱くなる)はずですので、基地局からの電波だとは考えにくいですね。

そうなるともう一つの可能性としては、他の登山客が所持している携帯電話ということになります。以前の記事にも書きましたが、携帯電話は自分の居場所を知らせるために、定期的に電波を発信しているので、周囲に携帯電話を持っている人が多ければ多いほど、自分が受ける電磁波は強くなります。

登山中や下山中は、たまに他の登山者とすれ違う程度でしたが、山頂では20~30人くらいの登山者が休憩していたので、その人たちのスマホから発せられる電波によって、今回の登山行程の中で最も強い電波を検知したのだと思います。

二日目 三鈷峰(標高1516m)

10時過ぎに駐車場を出発して登り始め、12時10分ごろに山頂に到着しました。その後、30分ほど休憩して、12時40分ごろに下山を開始し、14時過ぎに麓の駐車場に戻ってきました。一日目の大山とほぼ同じ時間帯の登山行程です。

高周波電磁波(RF)の値を見ると、一日目と同じように、最初の10分間くらい(10時10分頃)と、最後の10分間くらい(14時頃)に比較的高いことが分かります。最初と最後の約10分間は、一日目も二日目も同じルートを通っているので、やはりこのルート上では建物内から来るWifi電波や、近くにある携帯基地局などの影響を受けることが改めて確認できました。

一日目と違ったのは、二日目の登山では山頂で特に強い電波を受けなかったということです。二日目に登った山は、一日目に登った大山ほど登山客は多くなく、山頂でも5人程度しかいませんでした。周囲の携帯電話の数が少なかったため、測定器が検出した電波も比較的小さかったのではないかと推測できます。

ちなみに、一日目も二日目も、0~5 mW/m2程度の弱い電波は頻繁に検出されていました。おそらくこれは、すれ違ったり追い抜いたりした登山者の携帯電話が原因ではないかと思います。

まとめ

今回、登山中に電磁波をモニタリングしてみて分かったのは、山々に囲まれた自然の中にいるようでも、私たちは意外に電磁波を浴びていて、その原因はどうやら周りの人が持っている携帯電話ではないかということです。

一日目に登った大山の山頂では、20 mW/m2以上の電波も何度か検出されましたが、これは以前に測定した市街地で受ける電磁波と同レベルです。

せっかく電磁波デトックスをしたいと思って登山やハイキングに出掛けても、人が多い場所では電磁波から完全に逃れることはなかなか難しいということですね。今やほとんど全員が携帯電話(スマホ)を持つ時代で、これは言い換えれば、全員が「電磁波発生装置」を持ち歩いているわけですからね。

そうは言ってもやはり、自然の中で体を動かしたり新鮮な空気を吸ったりするのは気分がいいですし、少なくとも自分のデジタル機器からは離れることができますので、あまり神経質にならずにアウトドアを「楽しむ気持ち」を大切にしたいものですね。