前回の記事では、電磁波のことを知る上で基本となる、電場・磁場・電波(高周波電磁波)について簡単にご紹介しました。今回は、身の回りの電磁波環境を実際に測定したい方々のために、電磁波測定器の比較を行なっていきたいと思います。
どんな計器でもそうだと思いますが、製品の性能は価格に大きく影響されます。価格が高いほど高機能・高精度になる傾向があるのは当然ですが、多くの方々にとっては、身近な電磁波を簡単に、できればあまりお金をかけずに測定してみたいのではないでしょうか。
そこで今回は、「5万円以内」で買える電磁波測定器に注目します。
前回の記事でご紹介したように、電磁波環境を知る上で重要な測定項目は、
電場(電界)・磁場(磁界)・電波強度(電力密度)
の3つですから、本記事ではこれらの項目が測定できるかどうか、測定できるのであればその範囲はどれくらいか、ということに注目します。また、電波についてはその強度だけでなく、検出できる周波数(どれくらいの高周波電磁波まで検出できるかということ)も重要になりますので、電波の周波数も合わせてチェックしていきたいと思います。
なお、製造メーカーからのきちんとした製品紹介ページがネット上に見つからないような製品は、信用性が低いと考え、今回は除外しました。
以下が10製品の比較表です。全ての製品について、電場の単位はV/m、磁場はmG、電波強度はmW/m2に統一してあります。
メーカー, 製品名 | 電場EF (V/m) | 磁場MF (mG) | 電波強度RF (mW/m2) | 電波周波数 (GHz) |
BENETECH, GM3120 | 0 – 1999 | 0 – 99.9 | 検出不可 | – |
ERICKHILL, RT-100 | 0 – 1999 | 0 – 1000 | 検出不可 | – |
TENMARS, TM-195 | 検出不可 | 検出不可 | 0 – 323 | 0.05 – 3.5 |
TENMARS, TM-190 | 0 – 2000 | 0 – 2000 | 0 – 554 | 0.05 – 3.5 |
TENMARS, TM-192 | 検出不可 | 0 – 2000 | 検出不可 | – |
GQ Electronics, EMF-390 | 0 – 1000 | 0 – 500 | 0 – 9999 | 0.05 -10 |
AlphaLab, TF2 | 0 – 1000 | 0 – 100 | 0 – 20 | 0.02 – 6 |
LUTRON, EMF-827 | 検出不可 | 0 – 20000 | 検出不可 | – |
LUTRON, EMF-828 | 検出不可 | 0 – 20000 | 検出不可 | – |
Gigahertz Solutions, ME3030B | 0 – 1999 | 0 – 20 mG | 検出不可 | – |
最も安いのは?
今回まとめた10製品の中で最も安いのは、BENETECH社のGM3120とERICKHILL社のRT-100で、GM3120は3000円くらい、RT-100は5000円くらいで購入できます。
ただし、測定できるのは電場と磁場だけで、電波(高周波電磁波)は測定できません。家の中の家電製品や電気配線など、低周波の電磁波環境(電場と磁場)を気にしていて、なるべくお金をかけずに測定したい方は、これらの商品を検討してみてもいいかもしれません。
注目すべきは?
1万円以上の測定器になると、電場・磁場・電波の3つの項目を測定することができたり、非常に高い磁場に対応できたりします。ほとんどの方々は電場や磁場だけに特化した製品よりも、電場・磁場・電波の3項目を同時に(1台の測定器で)測定したいと思いますので、注目すべきは以下の3製品になるのではないでしょうか。
TENMARS, TM-190(メーカーHPはこちら)
GQ Electronics, EMF-390(メーカーHPはこちら)
AlphaLab, TF2(メーカーHPはこちら)
これら3つの製品をもう少し詳しくご紹介します。
TF2(トリフィールドメーター)
3つの製品の中で、最も有名で世界中で売れている製品は、おそらくAlphaLab社のトリフィールドメーターTF2だと思います。ネット上に見られる(英語も含めた)商品のレビュー件数も、3製品の中で一番多いです。つまり、この製品を使うメリットの一つは世界中で多くの人が使っているという「信頼度」と言えるでしょう。
他のメリットとしては、操作方法が非常に簡単で、中央のダイヤルを電場・磁場・電波のうち、測定したい項目に手動で合わせるだけです。ただし、これは言い換えれば、3つの項目(EF・MF・RF)を同時に測定することはできないということなので、この点をデメリットと考える人もいるでしょう。
上記の3製品の中では、価格が一番高いです。
EMF-390
TF2の次に有名な製品は、GQ Electronics社のEMF-390でしょう。日本ではあまり有名ではありませんが、海外通販サイトのレビュー件数ではTF2に引けを取りません。この製品のメリットは、何といっても電波の測定に強いということです。電波強度は9999 mW/m2まで、周波数も10 GHzまで対応していて、3製品の中で最も広い範囲の電波を検知できそうです。
その他にもTF2にはない特長が多くありまして、例えば、
- 電場・磁場・電波の3項目を同時に表示できる。
- 測定値から推測される電磁波の発信源がすぐに表示される。例えば、Power Line(電線)、WiFi、 Cell Tower(携帯基地局)、Microwave(電子レンジ)、 Static(静電気)、 AC EF(交流電源)など。
- データのログ・保存機能があるのでモニタリング測定できる。記録されたデータはパソコンにcsv形式で転送可。
などです。これだけの高機能にもかかわらず、価格はTF2よりも若干安いです。
EMF-390のデメリットとしては、画面表示が英語であることや、日本語で検索してもあまり詳しい情報が出てこないことが挙げられます。それでも、製品のHPには詳しい日本語マニュアルがあり、無料でダウンロードできるので、慣れてしまえばほとんど問題ないと思います。
TM-190
最後にTENMARS社のTM-190です。ネット上のレビュー件数も少なく、3製品の中で最も知名度の低い製品だと思いますが、価格は最も安く、お店によっては2万円以内で購入できます。電場・磁場・電波を全て測定したい、でもなるべくお金はかけたくない、という方にとってはうれしい製品かもしれません。
この製品は画面表示を日本語に切り替えることもできるので、英語ができない方でも簡単に各種設定が行えます。
デメリットとしては、検出できる電波周波数の上限(3.5 GHz)が他の製品(TF2は6 GHz、EMF-390は10 GHz)に比べて低いので、高周波電磁波(携帯やWifiの電波など)に興味がある方にとっては、少し不安を感じるかもしれません。
まとめ
本記事では、5万円以下の電磁波測定器についてまとめてみました。どれを購入するかは、使用する目的や予算によって変わってきますので、それぞれの状況に合わせて購入していただければ良いのではないかと思います。
私自身は、機能と価格を考えるとGQ Electronics社のEMF-390が一番じゃないかなと思っていて、実際に購入して半年以上使っていますが、不具合もなく順調に作動しています。
次の記事では、TF2とEMF-390を使いながら、実際の測定値を比較していきたいと思います。