トーマス・カウワン著『Breaking the Spell』を読んでみる:第一章

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今回の記事では、トーマス・カウワン著『Breaking The Spell』をご紹介したいと思います。

トーマス・カウワン医師といえば、新型コロナ騒動が始まった2020年の春頃、ある会議でウィルスとは何か、新型コロナとは何か、について非常に分かりやすく面白い講義をして、その一部の動画が、世界中で再生されて話題になりました。日本語字幕付きの動画もあるようです。

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その後の2020年9月に、トーマス・カウワン医師はサリー・モレル氏と共著で『Contagion Myth』を出版しました。新型コロナだけでなく、様々な感染症について疑義を呈し、タイトルにあるように、感染症というのはあくまで「作り話(Myth)」に過ぎないのではないかという、非常に興味深い考察を展開しました。難しい英語もなく、とても読みやすい本ですので、少し英語ができる方はぜひ一読されることをお勧めします。

そして、約1年後の2021年8月にトーマス・カウワン医師の新刊として出版されたのが、今回ご紹介する『Breaking The Spell(呪いを解く)』で、副題は「コロナ妄想を終わらせるための科学的な証拠」です。『Contagion Myth』は200ページくらいの本ですが、『Breaking The Spell』は40ページくらいの本、というより冊子のような薄い書物ですので、コロナやウィルスについて素早く理解を深めたいという方にとっては、うってつけの一冊だと思います。

出版されてから2年くらい経ちますが、日本語で紹介している記事が見当たらなかったので、内容を一部だけご紹介したいと思います。

第一章 ウィルス学者はどうやって新型ウィルスの存在を確認し、それが病気を引き起こすことを確かめたのか?

これまで多くの場で話をしたりインタビューを受けたりしてきましたが、そこで分かったのは、ほとんど誰もこの質問(第一章のタイトル)に答えることができないということでした。一般の人、ジャーナリスト、弁護士、活動家、医師を含めた医療従事者の、ほとんど誰も、です。ほとんどの人々は、仕事としてCOVIDに関わっているのに、このウィルスが本当に存在するのかどうか、確認する方法さえ知らないのです。

(中略)

まず最初に、一般人や医療従事者たちは、なぜ新型ウィルスの存在を信じているのでしょうか?この質問をすると、返ってくる答えはたいてい、「世界中で何百万人もの人々が病気になったり亡くなったりしているんだから、きっとウィルスがいるに違いない」とか、「病気がある場所から他の場所に広がったり、人から人に移ったりしてるんだから、きっとウィルスが原因に違いない」というようなものでした。

これは全くその通りですよね。私も友人や同僚の大学教員、研究者たちに同じような質問をしたことがありますが、みんな同じような答えしか返ってきませんでした。医師であろうと、科学者であろうと、専門家だからといって何か特別な情報源を持っているわけではなく、彼らの情報源はテレビや新聞などの大手メディアに過ぎないということは、ぜひ覚えておいたほうがいいでしょう。

ある場所でたくさんの人が病気になっているだけでウィルスが原因だというのなら、広島で起こったこともウィルスが原因だということになってしまいます。病気が広がっているだけでウィルスが原因だというのなら、チェルノブイリの悲劇もウィルスが原因ということになります。100年以上前のことですが、船上で乗組員たちが次々と病気になっていくようなことがありました。歯が抜けたり、多くが心不全で亡くなったりしました。乗組員たちは、何かが人から人へ移っている(伝染している)と思ったようです。しかしある時、乗組員がライムを食べると症状はすっかりなくなりました。乗組員たちは、実はビタミンC不足によって壊血病を患っていたのです。

このように、疫学的な観察によって医療の専門家たちが伝染病という考えを持ってしまった例は他にもたくさんあります。脚気やペラグラ(ナイアシン欠乏症)も数十年前は伝染病だと考えられていましたが、今ではビタミンB不足が原因だと分かっているため、家族が同時に発症したとしても、何ら不思議ではありません。

大事なことなので繰り返しますが、疫学(伝染病学)という学問の役割は、あくまで探るべき道(可能性)を提案することです。かつてハーバード大学疫学科の元学科長が言ったように、科学者たちが疫学を誤用すれば、疫学は「益よりも害をもたらす、社会にとって迷惑なもの」となってしまうのです。

これは様々な場面に当てはまります。例えば、家族内の人々が次々に風邪を引いていくと、ほとんどの人はウィルスが移った(感染した)と考えるのではないでしょうか。多くの人が同時期に病気になったからといって、それが感染性の病原菌が原因だと考えるのであれば、第二次世界大戦中に広島や長崎で多くの人々が亡くなったのも病原菌が原因だということになってしまいます。「風邪がうつる」「病気がうつる」という概念が定着してしまったのは、「科学者たちが疫学を誤用」し、長年に渡ってマスメディアがそれを宣伝した結果だと言えるでしょう。

話を次に進めましょう。ここでは多くの一般の人々が思っていることと、多くの医師たちが信じていることについて考えてみます。ほとんどの人々は、新しい病気が発生したと聞けば、研究者たちはその病気の症状を正確に把握しているに違いないと思うでしょう。そして、同じような症状の人々を調べ、共通して見られるウィルスをすでに見つけているはずだと。そのウィルスは病人から大量に見つかり、大きさや形などはすべて同じで、遺伝子構造も同じはずだと。新しいウィルスが発見されたと聞けば、これらの研究がきちんと行われたはずだと一般の人々は思うことでしょう。

しかし実際には、このような理に適った研究は行われていません。(中略)はしかや水疱瘡のような、最も分かりやすい「ウィルス」病でさえ、驚くべき事実があります。それは、医学の歴史上、どんな病人からも、どんな体液からも、病気を引き起こすウィルスをきちんと分離した研究は一つもないということです。

もう少し具体的に説明すると、「ウィルス」によって起こるとされる病気、例えば水疱瘡や狂犬病、はしか、エイズ、COVID-19などですが、それらの文献・研究論文を見ると、病人からそのウィルスが分離されたという証拠はどこにも載っていないのです。おかしなことに、どの国の保健機関も、この「ウィルスが分離されていない」という点は否定していません。ウィルス学の研究者や医師も、CDCやパスツール研究所、ロバート・コッホ研究所も同様です。

その証拠に、私たちは世界中の政府機関から60近い文書を受け取り、そこには新型コロナウィルスが人間から直接分離された研究例はないと記載されています。新型コロナウィルスの「分離と精製」について重要な研究論文を出している何人かの筆頭著者にも聞いてみましたが、病人の体液から新型コロナウィルスを直接分離しようとしたことはないと認めています。多くのウィルス学者にも連絡を取ってみましたが、やはりどんな病人の体液からも病原性ウィルスは分離できないと言います。彼らが言うには、ウィルス学とはそういうものではないのだと。

ここで重要なことは、新型コロナウィルスに限らず、水疱瘡や狂犬病、はしか、エイズなど、病気を引き起こすとされるどんなウィルスもこれまで分離されたことはないということです。つまり、それらが存在する証拠はないわけで、現時点では存在しないと言うこともできます。存在しないウィルスについて、科学者たちはどうやってワクチンや薬を作っているのかと思われるかもしれませんが、「ウィルス学とはそういうもの」らしく、多くのウィルス学者たちの誤解と妄想によって成り立っていると言ってもいいかもしれません。

はっきりさせておきたいのですが、液体上のサンプルからウィルスと同じような大きさ、形、性質の粒子を分離することは、技術的に不可能ではなく、難しくもありません。例えば、数十年間に渡って科学者たちは細菌培養からバクテリオファージと呼ばれる粒子を分離し、その粒子の電子顕微鏡写真を撮ってきました。ある培養から得られた粒子はすべて同じ形をしていて、同じタンパク質、同じ遺伝子構造を持っています。

(中略)

これが科学というものです。まずは未知のもの(今回の場合はウィルス)を分離して特徴を把握しますよね。そして、その存在をしっかりと確認してから、動物実験を行うでしょう。この単純で実行可能な実験が、病原性ウィルスについてこれまで一度も行われたことはなく、もちろん新型コロナウィルスについても行われていないのです。一度もです。

医師やウィルス学者たちに、「新型ウィルスが存在し、それが病気を引き起こしているというのなら、どうして明白な証拠を示さないのか」と尋ねると、二通りの答えが返ってきます。一つ目は、そのような分離の方法では、病人の体液から十分な量のウィルスが得られないと言うのです。では1万人のコロナ患者の肺から得られたサンプルを足し合わせたらどうかと尋ねると、答えは同じで「十分ではない」と言います。当然、こう質問したくなりますよね。「ではそのウィルスが病気の原因だとどうして分かるのか?」と。この質問に対しては答えてくれませんでした。

次によく聞いた答えは、ウィルスは細胞内に「寄生」しているため、細胞の外で見つけることはできないというものです。ではどうやって人から人へ伝染するのかと尋ねると、「細胞から出て飛沫の中に入り、別の人に移る」とウィルス学者たちは答えます。ウィルスが細胞の外に出てくると、他の人に移るのだと。人から人へ伝染するときにはウィルスが細胞外に出ていると言うのなら、ウィルス学者たちはなぜその移動中のウィルスを捉えようとしないのか、私には不思議でなりません。

ここまでくると、私たちにはどうしても理解できなくなってしまいます。これまでどんな病人からも、病原性のウィルスが分離されたことがないのは明らかです。それなのにどうして、ウィルス学者たちはウィルスが「分離」されたと言ったり、その特徴を述べたり、それが病気を引き起こすと主張したりできるのでしょうか?新型コロナウィルスのゲノム配列が明らかになったとか、変異株が見つかったとかという報告もたくさんあります。ウィルス学者たちがどうしてこのような主張を繰り広げることができるのかを理解するためには、ウィルス学が科学的な誠実さを失ってしまった背景を知る必要がありそうです。

(後略)

「ウィルス学が科学的な誠実さを失ってしまった背景」というのが、以下で説明されている病原性ウィルスの「発見」です。

ウィルス学を仕事にしている人たちにとってラッキーだったのは、ジョン・フランクリン・エンダースがウィルスを「培養」する方法を「発見」したことでした。この発見は1954年にノーベル賞を受賞することになります。1954年と1957年に、エンダースはウィルスの培養方法に関する2本の論文を発表し、それが今までずっとウィルスの存在を証明する標準方法とされてきました。

(中略)

彼は、はしかの症状で入院していた七人の子供から咽頭スワブ(喉の粘膜サンプル)を採取し、その綿棒を2ミリリットルの牛乳と混ぜました。もちろん、牛乳そのものが遺伝物質を含んでいます。さらに、その牛乳に次の溶液を加えます。

(中略)

簡単に言えば、エンダースは最初の喉の粘膜サンプルに6種類のタンパク質や遺伝物質を加えたのです。これらの加えられた物質は、分解されれば大きさや形がウィルスそっくりの粒子となります。これらは6種類の物質は、牛乳、人間の腎臓細胞、赤毛猿の腎臓細胞、牛の羊水、牛の胚エキス、ウマの血清です。

エンダースの研究グループは、この培養液にさらに抗生物質を加えました。それは腎臓細胞にとって毒性があることが知られていて、特にストレプトマイシンは有毒です(今日では、ゲンタマイシンやアンフォテリシンがよく使用されます)。エンダースたちはこの混合物を数日間観察し、培養物に細胞変性効果(CPE)、つまり健康で通常の大きさの細胞が、肥大して壊れたり穴が開いたりする現象ですが、それが見つかれば最初の喉の粘膜サンプルにウィルスがいる証拠だと結論づけたのです。エンダースは、この細胞変性効果こそが細胞死の証明であり、はしかウィルスが感染して細胞を破壊した証拠だと信じていたのです。

今日でも、わずかな例外を除いては、「ウィルスの分離」はこのような不備のある培養実験から始まります。そして、そのウィルスとされるものの遺伝子解析は、分離・精製されたウィルスではなく、例外なくこの培養物(混合物)を使って行われています。ですから、ウィルス学者がウィルスのゲノム情報を知りたいと思えば、病人からウィルスを分離したり、その粒子を精製したりすることはなく、病人から不純物の混じったサンプルを採取し、それを上で説明したように培養し、その混合物について分析を行うのです。ウィルス自体の分析を行なっているわけではありません。

「ウィルスの分離」について非常に分かりやすく解説されています。さらに簡単に言えば、人から採取したサンプルを、動物の腎臓細胞やタンパク質、抗生物質などと混ぜ合わせて、ウィルスらしい粒子が観測されれば「病原性ウィルスに感染した」と結論付けるわけです。ウィルスだけを分離して、感染実験を行なっているわけではないということです。

エンダースの研究から言えることは、彼がはしかウィルスと呼んだ粒子が本当に病人から見つかったものなのか、それとも培養物の中にあった遺伝物質に由来するものなのか、エンダース自身も分からなかったということです。

ここでいう「遺伝物質」というのは、病人から採取したサンプルではなく、実験のために添加された6種類のタンパク質、つまり動物の腎臓細胞や牛乳、羊水などのことです。エンダースも自身の論文のなかで、観測された粒子が病人に由来するものなのか、実験中に細胞が壊れて出てきたものなのか、区別できないと認めていました。

1950年代に、外部から来た病原性のウィルスなのか、細胞が分解されるときに出てくる粒子なのかを区別することはできませんでした。67年後の現在は、分析技術の進歩によってウィルス学者はこれらの粒子を区別できるようになったのでしょう、と思いきや、2020年5月の研究論文でも、全く同じ問題が述べられているのです。

(中略)

今日、ウィルス学者たちは、細胞が死んでいくときに必ず出てくるこの分解物を、細胞外小嚢とか、「エクソソーム」と呼んでいて、この粒子は病気の人の体液から分離・精製することができます。それはウィルスの概念とは異なるもので、体の外からやってきたり、病原菌と考えられたりしているものではありません。細胞外小嚢(エクソソーム)とは、自らの体の組織の分解物であり、病原性ではありません。そして2020年5月時点で、ウィルス学者たちはこの二つ、つまりウィルスと細胞外小嚢(エクソソーム)を区別できないことを認めています。

つまり、現実はこうです。「ウィルス」のような大きさ、組成、形をした全ての粒子は、実際にはごく普通に見られる、私たちの体の組織の分解産物に過ぎないということです。エンダースが行なったような培養をすれば、私たちの体の組織はもちろん同じように分解されるでしょう。死んでいく細胞は無数の粒子に分解されるわけで、残念なことにその粒子が外部からやってきた病原性ウィルスと間違えられてきたわけです。今こそ、この誤解を解かなければいけません。

第一章はここまでです。ウィルスを分離するということが何を意味するのか、ウィルスの病原性がどうやって調べられているのか、分かりやすく説明してあったと思います。「新型ウィルスを発見」とか、「変異種が発生」とか、テレビや新聞などでよく騒がれていると思いますが、それらの根拠はこのようなずさんな実験から得られているということを、一人でも多くの人々が知っておくべきだと思います。

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